昆布屋に嫁いで27年、仕事を手伝い始めて20年、
昆布出汁と真剣に向き合って5年。

昆布屋でありながら、比較的最近まで昆布からお出汁を取ることは
私にとってもとてもハードルが高いことでした。

美味しい出汁を素人が取ることは無理だと思い込んでいたのです。
出汁はプロの料理人や、料理研究家、料理上手な方が手間暇かけて取るもの。
忙しい私にはそんな時間をかけている暇はない、
そんな認識でいたのでした。

そんなときに転機が訪れたのです。

昆布を使ったカフェの企画の話が持ち上がり、
企画に参加いただいた昆布大使の方に作っていただいた、
昆布出汁を使ったポタージュの味に魅了されてしまったのです。

作り方をうかがうと至って簡単、
自分で作っても本当に美味しくできました。
一気にハードルは下がり、
和食のお吸い物も簡単にできるようになりました。
出汁を取るって、こんなに簡単なんだと感動すら覚えました。

それから、色々と調べ研究しているうちに、
昆布出汁の底力と、不思議な可能性を感じるようになったのです。

昆布は海藻なので、昆布出汁は海藻の味と香りがします。
しかし、他の食材と合わせることにより、海藻臭はなりを潜め、
合わせた素材のうま味が大きく増します。
これをうま味の相乗効果といい、
うま味が7~8倍になると言われています。
昆布が持つグルタミン酸の底力です。

出汁の醍醐味は色々な素材の掛け合わせが生み出すものと思っています。
その根底を昆布の持つうま味が支えてくれているのです。
他の食材と合わせるとなりを潜めてしまう昆布出汁ですが、
その控えめな日本人の様な食材に少しばかり意識を向け、
出汁の掛け食わせの妙を感じていただけるプロジェクト始めます。

こんな私の思いを形にする素晴らしいチャンスを頂きました。

神戸市の「デザ経―デザインで経営を変える」というプロジェクトです。
7か月間デザイナーさんが並走してくれ共に企画案を作り上げてきました。

去る2021年3月17日、

このプロジェクトに参加した9社によるプレゼンテーションが行われました。

参加企業の思いと意気込みをご覧ください。
私は5番目に登場いたします。

 

私の思いや熱意は伝わりましたでしょうか?

やっとスタート地点に立ったばかりです。

大きな夢ですが、

『出汁の概念を変え、新たな出汁文化をつくる』

ことを目標に活動をしてまいりたいと思います。
応援よろしくお願いいたします。

小濱 洋子

Yoko KOHAMA
株式会社浪花昆布 常務取締役

1994年株式会社浪花昆布の2代目小濱敬一と結婚。一男一女の母。
2002年株式会社浪花昆布入社、初代女将の営む佃真六甲本店で女将修行をスタート。
長女がフィギュアスケートを始めたため、仕事や家事、スケートの送り迎えにと目まぐるしい日々を送っていた。
娘のスケート引退を機に、本格的に社内業務に携わる。
ぐるぐる昆布カフェの企画、商品開発、開店準備を担う。
現在は、フランス輸出業務に力を入れている。